1. PostScriptとは
PostScriptとは、Adobe Systemsが開発したページ記述言語(PDL)の一種で、プリンターや画像処理装置などの出力機器で使用されています。
文書やグラフィックを高品質に印刷するために設計されたため、グラフィックスやテキストの描画に強みを持っています。
簡単に言うと、パソコンで編集した原稿を、プリンターや複合機で出力する際に、パソコンからプリンターに送る信号(命令)です。
「ページの、あの位置に、この色で丸を書いて、その隣にこの文字を書いて・・・」といった感じでしょうか。
特徴は、デバイスに依存しない拡張性が高い簡潔な構文となっており、メーカーや機種を問わず同じ言語を使用することができるため、データのやり取りや共有にも適しています。
また、PostScriptは、Adobeが開発したPDF(Portable Document Format)のベースとなっており、高品質な印刷物の作成には欠かせない技術のひとつです。
2. PostScript対応のコピー機・複合機が必要な方とは
●デザイナー・設計士の方
●Macをご利用の方
デザイン関係の仕事をしている方は、Adobe社製のillustratorやPhotoshopを使用している方が多いと思いますが
こちらのアプリではページ記述言語としてpostScript(PS)が採用されている為、PS対応のコピー機・複合機でないとイメージ通りの印刷が出来ない場合があります。
PostScript(PS)で出力する場合は、コピー機・複合機がPS対応していればどんな機種でも同じようにプリント出力する事ができます。
Macをご利用の方にはMacがPostScriptを搭載しており、他のページ記述言語との互換性が高くない為に、Macからの印刷はPostScript対応のコピー機・複合機をおすすめします。
3. デザイナーや設計士の方へPostScript搭載の機器をすすめる理由
PostScriptは、高品質な印刷物を作成するためのプロフェッショナルなツールとして知られています。
PostScriptを使用することで、緻密な線画や精密なテキストを含むデザインを正確に再現することができます。
デザイナーや設計士の方にPostScript搭載のプリンターや複合機をおすすめするには下記の様な理由があります。
ベクター形式での出力
PostScriptは、画像や文字をベクター形式で扱うことができます。これにより、拡大・縮小しても画像が荒れたり文字がぼやけたりすることがなく、綺麗に印刷することができます。
ベクター形式とは、コンピュータ上で作成された画像やグラフィックスを、ベクトルデータとして保存することです。
画像が図形、線、点、曲線などの数学的な式や座標情報で表現されます。そのため、拡大・縮小しても画像が荒れたり、ぼやけたりすることがありません。
また、テキストや線などを編集する場合にも非常に便利です。
一方で、ベクター形式は、写真などの実際の画像には適していません。写真は、ピクセル単位で表現されるラスタ形式の画像であり、画像が拡大されると画質が低下することがあります。
ベクター形式は、多くの場合で、Adobe IllustratorやCorelDRAWなどのグラフィックソフトウェアで使われています。
フォントの品質・自由度
独自のフォント表現方式を採用しており、高品質なフォントの描画が可能です。
また、TrueTypeやOpenTypeなどの他のフォント形式にも対応しおり、様々な種類のフォントを使用することができます。
組版処理が正確
ページレイアウトの機能が豊富で、複雑な文書でも正確な組版処理ができます。
プリンター自体がPostScript言語を理解しているため、印刷品質が高くなります。
クロスプラットフォーム互換性
Windows、Mac、Unix、Linuxなどのさまざまなオペレーティングシステムやコピー機・複合機やプリンターなどの印刷機器で使用することができます。
このため、PostScriptを使用することで、同じ高品質の印刷物をさまざまなプラットフォームで作成することができます。
小さいファイルサイズ
ベクター形式で記述されるため、ファイルサイズが小さいことが特徴です。
特に、大量のグラフィックスや画像を含むデザインにおいて、PostScriptを使用することで、ファイルのサイズを劇的に減らすことができます。
機種依存性が少ない
デバイスに依存しないため、出力機器のメーカーやモデルによらず、同じ言語を使用することができます。
これにより、複数の出力機器で同じデザインを再現することができます。
標準化された規格
Adobeが開発した規格であり、広く普及しているため、多くのソフトウェアやシステムがPostScriptに対応しています。
また、PDFのベースとなっているため、PDFファイルとして保存や配布することもできます。
これらの理由から、デザイナーや設計士の方がプリンターやコピー機・複合機を使用する場合、PostScript搭載の機種を使用することをおすすめします。
補足:ページ記述言語とは
ページ記述言語(Page Description Language)とは、プリンターやグラフィックス出力機器などのページの出力を制御するために使用される言語です。
テキストや画像、線や図形など、ページに含まれる様々な要素を記述し、出力する方法を定義します。
代表的なページ記述言語には、PostScript、PCL(Printer Command Language)、PDF(Portable Document Format)などがあります。
これらの言語は、それぞれ異なる出力機器で使用されても、共通して高品質な出力を可能にし、ファイルサイズを小さく保つことができます。
ページ記述言語を使用することで、同じページを異なる出力機器で再現することが容易になり、また、グラフィックスや画像などの高品質な印刷物を作成することができます。
4. 印刷サンプルを使ったPostScript出力の比較
では、実際にPostScript規格で出力した印刷物と、メーカー標準の規格で出力した印刷物を見比べてみましょう。
写真画像の比較
【PostScript出力】
【標準出力】
PostScriptの方がソファーの質感やドレスの明暗が綺麗に再現されていると思いませんか。
また、カラーチャートのグラデーションも綺麗に再現されており、特にシアンのグラデーションに差が出ています。
(富士フイルム製23枚クラスの複合機にて出力、600dpiでスキャン。)
モノクロ文字画像の比較
【PostScript出力】
【標準出力】
カラー文字画像の比較
【PostScript出力】
【標準出力】
PostScriptの方が小さい漢字もはっきりと再現しています。
(富士フイルム製23枚クラスの複合機にて出力、600dpiでスキャン。)
5. PostScriptを使わない場合の注意点
PostScriptを使わずにデザイン画や図面、フライヤーなどを作成した場合には、解像度の制限によって、拡大・縮小すると画像が荒れたり文字がぼやけたりすることがあります。
また、小さなサイズのフォントや、複雑なデザインのフォントを扱う場合には、フォントが崩れてしまったり、細かいデザインが失われてしまうことがあります。
組版処理の制限によって、複雑なページレイアウトやテキスト処理が正確にできないことがあり、特に、文章の行揃えや段落の配置、画像の配置などの細かい調整が必要な場合には、制限がある場合があります。
PostScriptに対応していないコピー機・複合機では、同じ原稿データでも、違うメーカーのコピー機・複合機を使った場合にレイアウトが崩れたり、文字フォントが違くなったりする場合があります。
こような理由から、PostScriptを使わない場合には、正確な印刷物を作成することが難しくなる可能性があります。
6. まとめ
デザイナー・設計士の方、印刷物のクオリティーにこだわり方、印刷物の編集にMacをご利用の方はPostScript機能が搭載されたプリンターやコピー機・複合機をご検討ください。
特に、Macをご利用の方にはMacがPostScriptを搭載しており、他のページ記述言語との互換性が高くない為に、Macからの印刷はPostScript対応のプリンター・複合機をおすすめします。
PostScript機能を利用しない場合は、出力するプリンターや複合機の機種により、異なったプリントとなる場合がありますが、PostScript機能を利用した場合は、どのメーカー・機種でもパソコンで編集した画面と同じ様にプリントすることが出来ます。
(出力するプリンターなどの機種の性能により解像度や品質の差は生じます)
ただし、PostScriptを使用するためには、ライセンス料などで、その料金は高額になる場合があります。
また、印刷するために対応したコピー機・複合機やソフトウェアが必要になりますので、印刷物の用途や目的によっては、PostScriptを使わずに出力する方がコスト面で優れている場合もあります。
サガスでは、業務用コピー機・複合機のお見積もりの機種ごとに、PostScript出力・メーカー標準言語による出力と、比較のできるプリントサンプルのご用意が可能です。
PostScript機能は必要か?それとも必要ないか?などお悩みでしたら是非、サガスにご相談ください。